
【医師が教える】涙袋のヒアルロン酸注入の腫れ・ダウンタイム・オススメ製剤の全て。
「涙袋に憧れるなー。」
「涙袋がある人ってかわいいなあ。涙袋が欲しい」
そんな風に悩んでいる方は少なくないです。
そのため涙袋をつくるために美容医療クリニックを受診される方は少なくありません。
涙袋をつくる方法として最も手軽で効果的なのはヒアルロン酸注入です。
では、今回は涙袋のヒアルロン酸注入に関して美容皮膚科医・美容外科医の視点から説明していきます。
Contents
ヒアルロン酸とは?
ヒアルロン酸は元々肌にある物質であり、それを注入剤としてつくられた製剤です。
そのため、ヒアルロン酸は大まかに言えばfillerと呼ばれます。
fillerとは注入剤のことです。
注入することによってボリュームを出してほうれい線や口角のしわをうめて消したり、鼻やアゴに注入して鼻を高くしたり、アゴをシャープにしたりして形成します。
なお、ヒアルロン酸製剤の種類は国内だけでも数十種類もあります。
※ヒアルロン酸注入に関して詳しくは
【医師解説】失敗しないヒアルロン酸注入の全ての知識。効果・7つのリスク・製剤種類
ヒアルロン酸注入の流れ
1 医師とカウンセリング
医師と注入したい箇所や必要なヒアルロン酸の本数、リスクなど説明を受けます。
2 料金の説明や同意書の記入など
料金の説明を受け、納得すればそこで同意書等を記入し料金の支払いをします。
3 注入処置
涙袋にヒアルロン酸を注入します。
注入するための針を刺す回数は目もとの状態・医師のやり方によって異なりますが2〜4回です。
そのため、処置室にて数分で処置は終了します。
(表面麻酔クリームや表面麻酔テープを用いる場合は20〜30分プラスで時間がかかります。)
4 帰宅
終了後にメイクやマスクをして帰宅します。
涙袋のヒアルロン酸注入のダウンタイム
注射ですので腫れや内出血のリスクがあります。
ただ、腫れは直後から全然気にならないことがほとんどでしょうが完全になじむまでには1週間程度かかります。
また、製剤にもよりますが2週間程度経過するとボリュームが10%程度減ります。
なお、内出血はある一定の割合で起きてしまいます。
ただ、内出血が起きてしまってもごく小範囲であり1〜2週間で必ず吸収されていきます。
また、内出血はマイクロカニューレという鈍針を使用することによってリスクを下げることが可能です。(※)
目もとの場合、血流が豊富であり内出血もしやすく安全性の観点からもマイクロカニューレは使用した方が良いでしょう。
直後からメイクも可能です。
そのため、当日に予定があっても基本的には問題ない処置であると言えます。
(※)通常の針の先端は先が尖っていて鋭いです。
そのため、血管に刺さってしまうと内出血しやすいですし大きな内出血が起きてしまうこともあります。
しかし、マイクロカニューレは針の先端が丸くなっています。
鈍針と言います。
そのため、血管に刺さったり内出血するリスクが極めて低いと言えます。またヒアルロン酸による血流障害などのリスクを減らすことができるためヒアルロン酸注入に関してマイクロカニューレを使用されることはオススメです。
オススメのヒアルロン酸製剤
ヒアルロン酸製剤は国内だけで何十種類があります。
そして、製剤によってソフトな仕上がり・持ち上げ力・持続力などが大きくことなるため結果として仕上がりに大きく影響します。
例えば、柔らすぎる製剤を使用してしまうと1〜2ヶ月するとほとんど吸収されてしまいますし、硬い製剤だと涙袋の場合は凹凸のリスクが高いと言えます。
そんな中で涙袋の上に対するヒアルロン酸製剤として適しているオススメのヒアルロン酸製剤を紹介していきます。
なお、値段を比較する場合は1本1ccで比較すると良いと思います。
(注入量の目安は1本です。2本以上でやることはまずないでしょう。)
1 レスチレン
レスチレンは粒子が小さくソフトな仕上がりに優れています。そのため、涙袋の注入に適している製剤と言えます。
凸凹のリスクが極めて少ないという利点があります。
欠点としては持続期間が短いことです。6ヶ月間で吸収されてなくなってしまいます。
涙袋へのレスチレンの注入だと1本 5〜10万円のクリニックが多いです。
※レスチレンに関して詳しくは
【医師解説】目の下・唇にはレスチレン!レスチレンの効果と持続と疑問点。
2 ジュビダームビスタ ウルトラ
長期持続性(1年間)・なめらかでソフトな仕上がり・厚生労働省認可などの特徴があり、涙袋への注入に優れています。
価格は1本10万円前後で決して安くはないですが持続期間は1年間です。
そのため、質の高い安全なヒアルロン酸製剤を使用したいという方にオススメです。
※ジュビダームに関して詳しくは
【医師解説】厚生労働省承認のヒアルロン酸ジュビダーム!ジュビダームの効果と持続。
3 クレヴィエル プライム
クレヴィエルプライムは高濃度でありながらソフトな仕上がり持続期間が長い(12〜24ヶ月)という特徴があります。
特にジュビダームビスタウルトラと比べても高い密度がありながらソフトな仕上がりですので涙袋への注入に適している製剤と言えます
価格は1本10万円前後のクリニックが多いかと思います。
※クレヴィエルプライムに関して詳しくは
【医師解説】ヒアルロン酸クレヴィエルプライムで涙袋・額・頬上を長期間持続。効果と注意点。
そのため、涙袋へのヒアルロン酸注入に関しては上記の3種類のヒアルロン酸製剤がオススメであり、
「マクロレーン(VRF20,30)」、「パーレーン」、「クレヴィエルコントア」、「ジュビダームビスタウルトラプラス」、「ジュビダームビスタボリューマ」などは涙袋に関しては硬いためあまり適していません。
「ニューラミス」、「ビタール」などは柔らかすぎ持続期間も短く適していません。
涙袋のヒアルロン酸注入の5つのメリット
1 smileな表情になる。
涙袋がある人の方が表情がsmileな印象を与えることができます。
そのため、普段の表情をしている時もsmileな好印象を与えることができます。
なお、ヒアルロン酸の注入量はひとり、ひとりに合った注入量とすることが可能です。
つくりたい涙袋の程度にもよりますがだいたい、両側で0.4〜0.5ccの注入量となることが多いです。
なお、2週間以上経過するとボリュームが10%くらい減ることには注意が必要ですが初めての方は控えめの注入にした方が良いでしょう。
2 笑顔が可愛いらしくなる。
涙袋があることによってタレ目感を出すことができ、また笑顔になった時に強調されます。
そのため、涙袋があることによって笑顔を可愛いらしく魅せることが可能です。
3 目が大きく見える。
一般的に人は相手の目を見るときに涙袋〜眉毛までを認識します。
そのため、涙袋があることによって目を大きく魅せることが可能です。目力がアップしますね。
4 即効性がある。
ヒアルロン酸注入は即効性があります。
つまり注入した瞬間にはほぼ完成なわけです。
注入直後に涙袋ができたという実感あるということが大きな利点でしょう。
5 仕上がりが自然。
ヒアルロン酸注入はもちろん注入量にもよりますが、自然な仕上がりが可能です。
そのため、周囲にバレてしまうリスクは少ないでしょう。
手軽にできて仕上がりが自然ということは大きな魅力ですよね。
涙袋のヒアルロン酸注入の10のリスク・合併症
1 注入量が多すぎると不自然。
涙袋は適切な量であれば自然で可愛いらしい目もとになります。
しかし、注入量が多すぎると不自然な目もとになってしまいます。
そのため、注入量はほどほどにしておいた方が良いでしょう。
また、年配の方は涙袋を入れることによってシワが目立ってしまう場合もあるため事前に医師に相談しましょう。
2 うまく涙袋がつくれないときがある。
うまく涙袋ができないときがあります。
これは、眼窩脂肪が多い人や柔らかすぎるヒアルロン酸製剤を使用したときに起こります。
そのため、眼窩脂肪が多い方は脂肪を摘出する施術(※)を受けた方が良いでしょう。
また、柔らかすぎるヒアルロン酸製剤を使用した場合は涙袋がうまくつくれないばかりか下に流れていってしまいたるみのように見えてしまうことがあります。
3 痛み。
痛みは注入の時だけです
その後に痛みことは基本的にはありません。
(ジンジンする感じの痛みが数時間程度持続する可能性があります。)
4 腫れ・内出血。
注射ですので腫れや内出血のリスクがあります。
目元は血流が多く内出血しやすいので先端が丸いマイクロカニューレの使用は必須です。
内出血してしまった場合は1〜2週間かけて吸収されます。
5 凹凸・しこり。
涙袋へのヒアルロン酸注入は通常マイクロカニューレを用いて行います。しかし、それでも上まぶたの皮膚はとても薄いため凹凸やしこりが出てしまうことがあります。
経験豊富な医師にお願いした方が良いと言えるでしょう。
また、万が一凹凸やしこりが出てしまいなくしたいと思った時はヒアルロニダーゼを注射して分解し改善することも可能です。
ヒアルロニダーゼで溶解した場合は1〜2日でほとんどシコリやヒアルロン酸を溶解でき1〜2週間経過すればヒアルロン酸を再度注入することが可能です。
手軽にヒアルロン酸を溶解できるということは大きな利点ですが1000人に1人くらいの割合でアレルギーが起きるということが注意点となります。
6 長期的に持続しにくい。
ヒアルロン酸は手軽でメリットは大きいですがいずれ分解されてしまい一生は持続しないです。
なお、注入を繰り返すと効果の持続期間は長くなっていきます。
そして、涙袋はヒアルロン酸注入の中では持続期間はわりと長い方で一回のヒアルロン酸注入で2〜3年程度持続することもあります。
7 感染。
非常に稀ですが感染してしまい、赤く腫れて痛みが出てしまうことがあります。
その場合は溶かす薬(ヒアルロニダーゼ)を注射することによって溶かすことによって改善します。
8 アレルギー。
赤く腫れたりしてアレルギー反応が出る場合があります。
なお、このアレルギーのリスクは製剤によっても異なるため国内で承認されている製剤を使用した方が良いと言えます。
また、アレルギー反応が起きてしまった場合はヒアルロニダーゼで早期に改善しますのでご安心下さい。
9 血流障害。
頻度としては非常にまれですが、ヒアルロン酸注入は血管の閉塞による血流障害の合併症(※)は1万人に1人の割合で起きてしまいます。
そのため、リスクを下げるためにマイクロカニューレの使用は必ず必要と言えます。
また、経験豊富な医師にしてもらった方が良いでしょう。
(※)血流障害に関して詳しくはこの記事参照。
10 左右差が出てしまうことがある。
注入技術の未熟さ、あるいはもともとの目元の脂肪や筋肉のつき方によっては左右差が目立ってしまう場合があります。
その場合は、追加で修正のヒアルロン酸注入をしてもらった方が良いでしょう。
追加で注入する場合は、その場で追加するか2週間程度し落ち着いてからした方が良いでしょう。
涙袋のヒアルロン酸の価格
1本 4万円〜10万円です。
ビタールは持続期間が短いので安く、ジュビダームやクレヴィエルは持続期間が長く価格は高い傾向にあります。
目安としては
ビタール:4〜6万円
レスチレン:4〜10万円
ジュビダーム:6〜20万円
クレヴィエル:6〜20万円
となります。
ヒアルロン酸注入以外で涙袋をつくる3つの方法
ヒアルロン酸注入が手軽・安全で一般的ですが、それ以外にも涙袋をつくれる3つの方法を紹介していきます。
1 脂肪注入
脂肪注入によっても涙袋をつくることが可能です。
脂肪は一部は吸収されてしまいますが、半永久的に効果が持続します。
ただ、注意点が4つあります。
1 ダウンタイムがある
簡易的な脂肪吸引(二の腕or大腿内側からが多いです。)も必要なためダウンタイムがあります。
ダウンタイムは軽いですが、脂肪吸引した部位の痛み・腫れ・内出血などです。
2 針跡が1ヶ月間残る
脂肪注入をするときの針は太いため内出血のリスクが高く、また針跡の色素沈着は1ヶ月程度残ります。
最終的には針跡は分からなくなります。
3 涙袋の細かな調整が難しい
涙袋は通常片側0.25ml程度の注入量であり0.01ml単位で細かに調整しながら注入していきます。
そのため、脂肪注入ですとその後に吸収もされますし、細かな調整には向かないと言えます。
4 ヒアルロン酸がすでに入っている人は溶かす必要がある。
ヒアルロン酸がすでに注入されていて脂肪注入をしたい人の場合は一度ヒアルロン酸を溶かす必要性があります。
※脂肪注入に関して詳しくはこの記事参照。
2 涙袋形成手術
手術により涙袋を形成する方法があります。
プロテーゼを挿入して形成する方法や自分の筋膜などを移植する方法などがあります。
いずれにせよ半永久的な効果があるという利点があります。
ただ、手術ですのでダウンタイムもありまた、年をとった時に不自然な結果を生むことが考えられます。
そのため、手術を考えている方は慎重に考えましょう。
3 アクアミド注入
アクアミドなどの半永久的に持続する注入物を注入するという方法があります。
手軽にできるメリットがありますが、仮に凹凸・しこりなどができてしまった場合はそれが生涯にわたって持続します。
そのため、アクアミド注入はリスクも高くオススメできる治療ではありません。
まとめ
涙袋へのヒアルロン酸注入はたった数分で涙袋を作ることが可能です。
そのため、涙袋をつくりたいと思っている方はヒアルロン酸注入を受けてみる価値が十分にあるでしょう。
ただ、涙袋を滑らかに綺麗にヒアルロン酸を注入することは難易度が高い部位の一つです。
そのため、経験豊富な医師にお願いしましょう。
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