
【医師解説】ワキガを治す!7つのワキガ治療の効果・リスク・ダウンタイムまとめ。
腋臭で悩んでいる方は少なくありません。
そして、その悩みは想像以上に大きいためその症状を改善することはとても大切なことです。
まずは、脱毛や制汗剤などの治療をしている方が多いと思いますがやはりそれだけでは解決しないことがほとんどです。
そのため、今回は腋臭症治療についてまとめていきます。
Contents
腋臭症とは?
腋臭はもともと、異姓を惹きつけるためや縄張りを主張するためのものとして機能していました。
そのため、それが治療対象になるかどうかはその時代やその環境によるでしょう。
汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2つがあり、エクリン腺は全身の皮膚にあります。
アポクリン腺は脇、陰部、乳輪にあります。
エクリン腺は汗の量に関係していて、アポクリン腺はそれ自体は無臭ですが常在菌に分解された時に特有の臭いが発生します。
腋臭症治療の種類
大きく分けると以下の3項目で細かく言うと7種類の治療法となります。
1 ボトックス注射
2 レーザー(ミラドライ、ビューホット)
3 手術(剪除法、皮下組織削除法、超音波メス、クアドラカット法)
では、それぞれの方法について説明していきます。
ボトックス注射
1 ボトックス注射とは
ボトックス注射によって汗の量は確実に減ります。
なぜかと言えば、ボトックス注射は神経筋接合部に作用しアセチルコリンの放出を抑える作用があります。
ワキの汗を出している汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺がありますが、エクリン腺の神経伝達物質がアセチルコリンのため放出が抑えられエクリン腺からの汗が抑えられるというわけです。
そして、汗の量に関係するのがエクリン腺です。
つまり、ボトックス注射によって汗の量がかなり減少することになります。
2 効果の持続期間
3日〜1週間程度で効果を実感できます。
(最短で48時間後に実感できます。)
汗の量が減るため結果的に臭いの拡散を抑えることができます。
そのため、軽度の腋臭症の方はボトックス注射だけでもかなり改善します。
なお、ボトックスの薬剤的な効果としては、3~6ヶ月間です。
経験的には持続期間が長い方でも7ヶ月程度であり、注射する量によっても持続期間は変わります。
なお、半永久的に効果が持続する可能性はありません。
3 ダウンタイムは?
ワキのボトックス注射は5分もあれば終わります。
しかし、注射ですので腫れや内出血があります。
ただ、腫れは1時間程度で気にならなくなることがほとんどです。
直後でも薬の液体の容積分(両側で2〜4cc程度)の腫れですので大きく腫れはしません。
また、内出血はある一定の割合で起きてしまいます。
ただ、内出血が起きてしまってもごく小範囲であり1〜2週間で必ず吸収されていきます。
そのため、当日に予定があっても基本的には問題ない処置であると言えます。
4 副作用・リスクは?
副作用・リスクは基本的になく安全です。
(女性で2ヶ月間、男性で3ヶ月間避妊が必要です。)
強いて言うなら、注射による痛み・腫れ・内出血くらいでしょう。
そのため、腋臭症で悩んでいる方はまずはボトックス注射を受けてみるというのは良い選択肢だと思います。
レーザー(ミラドライ、ビューホット)
レーザー(ミラドライ、ビューホット)とは?
熱による作用でワキの汗腺を破壊する治療です。
レーザーなので切る手術と異なり傷ができることが基本的にありません。
2 効果
エクリン腺とアポクリン腺の両方を破壊することができるため、汗の量と臭いの両方を減少させる効果があります。
また、その効果は半永久的です。
ただ、1回だけだと効果が不十分な方も多いため2回必要なケースも少なくありません。
そのため、医師に2回必要かどうかは初めにカウンセリングの時に聞きましょう。
3 ダウンタイム
当日は少し腫れがあり多少のジンジンする程度の痛みがあります。
当日は予定がない方が良いでしょう。
そのため、「施術日」の1日のお休みがあれば基本的に問題ありません。
4 施術の流れ
1 マーキング
レーザーを照射する範囲等をマーキングしていきます。
2 局所麻酔
ワキに局所麻酔の注射をしていきます。
なお、この際に笑気麻酔(※1)や静脈麻酔(※2)を併用して行うこともあります。
(※1)笑気麻酔はリラックス効果のある吸入の麻酔です。鎮静・鎮痛効果があります。
(※2)静脈麻酔は点滴による麻酔です。主にプロポフォールを用いることが多く眠ったまま施術を受けることが可能です。
3 レーザー
レーザーを照射していきます。
時間としては20〜40分となります。
4 帰宅
終了後に帰宅します。
手術(剪除法)
1 剪除法とは
腋臭症の保険診療の手術としては最も一般的に行われている方法です。
脇の皮膚の皺に合わせて3〜4cmほどの切開を1本or2本入れて指で皮膚を裏返して直接アポクリン腺を見ながら切除していく手術となります。
2 効果
アポクリン腺の切除、臭いの除去という効果であればもっとも高いと言えます。
そのため、保険診療の手術で最も行われています。
3 ダウンタイム
ダウンタイムは長いと言えます。
・1週間程度の固定
・抜糸(7週間程度の時)
が必要となります。
そのため、最低でも1週間のお休みが必要となります。
4 リスク
・皮膚壊死
・血腫
・色素沈着
・拘縮
などのリスクがあります。
ただ、無理に多く切除しようとしなければリスクは低くすることが可能であり確率的には低いです。
そのため、初めから2回に分けて手術を行う医師もいます。
そのため、リスクを含め事前に医師から詳しく説明を聞きましょう。
5 施術の流れ
1 マーキング
摘出する脇のアポクリン腺の範囲等をマーキングしていきます。
2 局所麻酔
ワキに局所麻酔の注射をしていきます。
なお、この際に笑気麻酔(※1)や静脈麻酔(※2)を併用して行うこともあります。
(※1)笑気麻酔はリラックス効果のある吸入の麻酔です。鎮静・鎮痛効果があります。
(※2)静脈麻酔は点滴による麻酔です。主にプロポフォールを用いることが多く眠ったまま施術を受けることが可能です。
3 切開・切除・固定
脇のシワに沿って3,4cm程度メスにて切開。
浅筋膜上で剥離。
直視下にアポクリン腺を切除。
生理食塩水で洗浄、止血。
創部を縫合。
ガーゼにて圧迫固定(tie over固定します。)で手術は終了です。
4 帰宅or入院
脇の圧迫をしたまま帰宅します。
施設によっては入院することもあります。
なお、抜糸は1週間後にすることが多いです。
手術(皮下組織削除法)
1 皮下組織削除法とは?
ローラーとカミソリ刃がついた皮下組織削除器をを用いて行う方法である。
脇の上部を1cmほど切開し、その部分から脇の下に器具を挿入、操作することによってアポクリン腺を摘出する。
2 効果
エクリン腺・アポクリン腺をしっかりと除去するため、臭いの改善効果は高い。
3 ダウンタイム
安静・圧迫固定が必要となります。
そのため、最低でも1週間のお休みが必要となります。
4 リスク
・血腫
・色素沈着
・拘縮
などのリスクがあります。
リスクについて医師から十分な説明を聞きましょう。
手術(超音波メス)
1 超音波メスとは?
超音波振動を利用してアポクリン腺を摘除する方法です。
脇の切開は1cm程度です。
2 効果
エクリン腺・アポクリン腺の両方に効果的です。
そのため、臭いは80〜90%程度、汗の量は30〜50%程度減らすことが可能です。
3 ダウンタイム
固定は24時間、上肢挙上は72時間できません。
そのため、最低でも「手術日+1日」の合計2日間のお休みは必要です。
できれば「手術日+3日」の合計4日間のお休みがあれば安心ですね。
(医師・クリニックの指示に従いましょう。)
傷跡やダウンタイムが少なく効果が確実にしっかりとあるため、自由診療の腋臭症治療ではこの方法が主流です。
(機器が高価なため通常保険診療ではありません。)
4 リスク
・血腫
・熱傷
などのリスクがあります。
ただ、出血が少なく血腫のリスクは他の手術と比べると低いと言えます。
5 施術の流れ
1 マーキング
摘出する脇のエクリン腺・アポクリン腺の範囲等をマーキングしていきます。
2 局所麻酔
ワキに局所麻酔の注射をしていきます。
なお、この際に笑気麻酔(※1)や静脈麻酔(※2)を併用して行うこともあります。
(※1)笑気麻酔はリラックス効果のある吸入の麻酔です。鎮静・鎮痛効果があります。
(※2)静脈麻酔は点滴による麻酔です。主にプロポフォールを用いることが多く眠ったまま施術を受けることが可能です。
3 切開・超音波吸引
脇のシワに沿って1cm程度メスにて切開。
剥離。
超音波メスを挿入し吸引。
創部を縫合。
ガーゼにて圧迫固定で手術は終了です。
4 帰宅
脇の圧迫をしたまま帰宅します。
他の手術とは異なり固定は簡易的な固定となります。
手術(クアドラカット法)
1 クアドラカット法とは?
5mmほどの切開腺を2箇所おきます。
切開の場所から専用のクアドラカットシェーバーを挿入しアポクリン腺を少しずつ削除しながら吸引していく方法です。
2 効果
アポクリン腺を切除するため、臭いの減少に効果があります。
3 リスク
・皮膚壊死
・血腫
などがあります。
腋臭症治療の選び方
腋臭症治療の選び方の目安としては以下のようになるでしょう。
1 汗の量がメインとして気になる方
手軽にやりたい→ボトックス注射
しっかりやりたいけど手術はしたくない→レーザー(ミラドライ、ビューホット)
しっかり手術で治療したい→超音波メス
2 軽度の臭いが気になる腋臭症の方
手軽にやりたい→ボトックス注射
しっかりやりたいけど手術はしたくない→レーザー(ミラドライ、ビューホット)
しっかり手術で治療したい→超音波メス
3 重度の腋臭症の方
ダウンタイムが少ない方が良い→超音波メス
ダウンタイムがあっても良いので一番臭いが改善する方法が良い→剪除法
4 費用を一番安くしたい
保険診療による腋臭症手術(剪除法など。)
注意点
成人していない思春期だと汗腺の発達はまだ途中です。
そのため、できるだけ腋臭症の手術は思春期にはしないことが望ましいと言えます。
まとめ
以上、腋臭症治療のまとめです。
いかがだったでしょうか。
手軽な手術があるとは言え、リスクはゼロではないため安易に手術はするべきではありません。
そのため、悩んでいる方はまずはボトックス注射を受けてみるという選択も良いと思います。
いずれにせよ担当医からリスクに関して事前に十分な説明を受けましょう。